チェスのキングの動き方【キャスリングのやり方・条件・なぜ行うのか】

チェスを覚える

チェスのゲームは、キングをチェックメイトする(みにする)ことを目的にする。キングの駒はチェスの目的そのものと言える。

キングは常に相手(敵)から狙われる対象であるため、そのキングを安全にかくまう手段としてキャスリングがある。

現在のキャスリングの動作は17世紀初頭に確立したものである。1手でキングとルークを入れ替える変則的な動作であるが、やり方と条件を必ず覚えなければならない。

キングの動き方

  • 隣接するマスに移動できる。ただし、味方の駒がいるマスには移動できない。
  • 敵の駒を取って、そのマスに移動することもできる。

キングは、自身に隣接するマスに1マスだけ動くことができる。

キングの役割

駒の価値(点数)
King Queen Rook Bishop Knight Pawn
9 5 3 3 1

キングは敵駒に狙われる存在であるため、攻撃に参加することはなく、積極的には動かない。

自らの安全を確保するためにキャスリングという変則的な動きをとることができる。そしてキャスリングしたあとは、やはりほとんど動くことはない。

白黒双方のクイーンが相討ちしてボード上から取り除かれたあとは、キングも攻撃手になり得る。そして、エンドゲームではポーンを昇格させるために自ら先導して敵陣に向かっていくことになる。

なお、キングでキングをチェックすることはできない。お互いの可動域に侵入することができないからである。エンドゲームではこの特性を加味した考察が要求される。

キャスリング

  • キングサイドキャスリング:キングをgファイルに移動してルークと入れ替える。
  • クイーンサイドキャスリング:キングをcファイルに移動してルークと入れ替える。

キャスリングは、1手でキングとルークを入れ替える動作である。

キングサイド、クイーンサイドのどちら側にキャスリングしてもよいが、キャスリングのときのキングとルークの位置は決まっている。

キャスリングのやり方

  1. まずキングに着手して2マス動かす。
  2. そのあとルークに着手して動かす。

キャスリングではキングとルークの2つの駒を動かすが、キングの指し手である。

そのため、まずキングを2マス移動して、その指し手がキャスリングであることを表明する。キングを動かしたあとにルークに着手してキャスリングを完了させる。

もし、キャスリングするつもりなのに先にルークに手を着けた場合は、タッチムーヴの規則によってルークだけを動かす1手とみなされてしまう。

タッチムーヴとは、触れた駒は動かさなければならないという規則。相手からタッチムーヴを指摘された場合は、触れた駒の移動を強制される。

アプリやウェブのゲームでは、キングをキャスリングしたい方向へ2マス動かせばキャスリングと判断されるようになっている。

キャスリングの条件

  • キングとルーク(キャスリング側)が、一度も移動していないこと。
  • キングとルーク(キャスリング側)のあいだに駒が無いこと。
  • キング自身およびキングの動線(通過するマス)が、敵駒の攻撃を直接受けていないこと。

キングとルークが一度も移動していないことが条件になるので、キャスリングできるのは1ゲーム中に白黒双方がそれぞれ1回のみということになる。

「キングの動線が敵駒の攻撃を直接受けていないこと」というのが分かりにくいかもしれない。イメージとしては、通り道が敵の攻撃にさらされていたら(安全に)通行できない。

なお、ルーク自身およびルークの動線が敵駒の攻撃を直接受けていても、それはキャスリングの条件には当てはまらない。

上の状況では、白はキャスリングすることができる。

黒はキャスリングできない。その理由は、キングサイド(右側)はキングの動線が白ナイトの攻撃を直接受けているため。クイーンサイド(左側)はルークが動いてしまっているため。

キャスリングできない原因

  • キングまたはルークを1度動かしてしまっているから。
  • キングの移動線上に敵駒の攻撃ラインが当たっているから。

キャスリングできない原因は、「キングとルークを一度も移動していないこと」と「敵駒の攻撃を直接受けていないこと」の条件を見落としているケースが多い。

ゲーム中にキングやルークを動かして、また初期位置に戻っているような場面では、ついキャスリングできる状態に見えてしまう。キングとルークが初期位置にあっても、ゲーム中に1度でも動かしたのであれば「一度も移動していないこと」というキャスリングの条件に反するため、キャスリングはできない。

なぜキャスリングするのか

  • キングを安全な場所に匿うため。
  • ルークを参戦させるため。
  • 自陣の守備を強固にするため。

なぜキャスリングするのかというもっともな理由は、キングを安全な位置に匿うことにある。

盤の端で待機状態になっているルークを参戦させることができる。2つのルーク同士を連携(リンク)させれば自陣の守備が強固になる。

もしキャスリングできなければ、キングを安全な場所に移動させるのに相当の手数がかかってしまう。先に前列のポーンを動かしたり、ルークと配置を入れ替えたりと手間取る。

キャスリングの1手は、2手分以上の価値があると言える。